Mag-log in俺は、いつものように筋トレ部で筋トレをしていた。
その時だった。
ものすごい美少年が歩いていた。
王子かと思った。
それがアルだった。
そして、その隣にいたのが、かわいい顔をした男――ユウだった。
アルは初めて見る顔だ。
あんなに目立つ美少年なら、見たことがないのがおかしい。
転校生か?
見学か?
よくわからない。
ただ――アルは妙に華奢だった。
細い。
柔らかそう。
しかも、何か落ち着いていて、本当に王子みたいだった。
「あいつ……別格だろ」
「絶対に王子だ」
「あれで筋肉があったら……」
「惜しいな」
「あれで筋肉ついたら完成じゃね?」
「いや、今のままだと病気になるだろ」
「守ってやらないと駄目なタイプだ」
「あ……もしかして、俺たちに助けを求めているんじゃないのか?」
俺たちは察した。
きっと――筋肉が欲しいんだ。
恥ずかしくて言えないだけだろ?
わかる。
わかるぞ。
だから。
クリスが話しかけた。
「そこの美少年達、筋トレ部に用か? よかったら筋トレしよう」
(その誘い方はないだろ)
(恥ずかしいからやめろ)
筋トレ部全員が思った。
だが。
俺は、やっぱりアルが気になった。
あまりにも細い。
胸板なんて柔らかそうで。
大丈夫かと思って、俺は触った。
ものすごく柔らかかった。
一瞬、女の子なのか? って思うくらいに。
でも。
男だよな。
王子みたいだけど。
きっと筋肉が足りないだけだ。
あいつ病気になるぞ。
身長はそれなりにある。
でも、あの身体は駄目だ。
筋肉がおかしい。
心配だった。
それにしても不思議だった。
男なのに、何であんなに柔らかいんだ。
しかも妙に花があって、話し方もどことなくかわいらしい。
正直、話してるとドキッとする。
それなのに優しい感じがして、癒し系だよな。
やっぱり王子だからか?
でも筋肉ないんだよな。
俺が何とかしてあげないとな。
一緒にいたユウは、また別方向にすごかった。
かわいい系男子。
しかも女装アカウントまで持っていた。
名前はユリア。
見せてもらったが完成度が高い。
「ユウの完成度高くない?」
「いや、でもあの言動……ないよな」
「壊すぞ! だぞ」
「更に……いかにも男ですって仕草が時々出る」
「蹴とばそうとしてきたりとか」
「あの顔でそれかよっていうような言葉」
「写真だけだとまあ……って思うが、何だろうかオーラが男だろう」
「極めつけは……ない。ぺたんこだ」
「だな」
「残念」
どう見ても男だった。
惜しい。
やはり男では限界があるんだな。
ただ、皆、ユウの努力は認めていた。
完成度をもっと上げたいんだろう。
ユウ、頑張れ。
だが、アルは違う。
女装じゃない。
見た目が王子みたいなだけだ。
きっと、もっと男らしい身体になりたくて筋トレ部を見ていたんだろう。
わかるぞ。
やっぱり筋肉は必要だからな。
もしかして――あんなに華奢なのは病気をしていたからなのか?
そういうことか。
わかった。
協力してやろう。
健康が一番だからな。
ただ、肌なんかツヤツヤだった。
一応、ご飯は食べているらしい。
なら、やっぱり筋トレだ。
胸板を鍛えないとな。
他も色々。
どこもかしこも柔らかい。
あれは……柔らかすぎるだろ。
脂肪だぞ。
何とかせねば。
メッセージを送るとき、俺はものすごくドキドキした。
俺なんかがお近づきになっていいのか?
美少年だし。
でも……俺が何とかしてあげないと。
だいたい皆、ユウには送るみたいだけど、アルと連絡先交換してるのは俺だけなんだよな。
きっと、あまりにも王子すぎて声をかけられなかったんだ。
まあ、俺は筋トレを教えたのもあって、声をかけられたが。
王子は少しおとなしい感じで、ゆっくりしてる感じだもんな。
話し方も優しいし。
アルの連絡先を見た。
いや、いいのか?
あいつ、本当に王子みたいだったし。
俺なんかが気軽に連絡していいのか?
ドキドキする。
軽く言っちゃったけど、迷惑じゃないか?
それに本当にあいつ……病気だよな。
俺が動画を送って、無理をして倒れたりしたらどうする。
いや。
でも、健康になってほしいし。
動画、もう一度撮り直そう。
結局、俺は何度も撮り直した。
これならいける。
俺は早速メッセージを送った。
『胸板を鍛えるための筋トレ 初心者編』
分かりやすいほうがいいと思って撮った動画を添付した。
そして送信。
よし。
『動画送ったぞ。ちゃんとやれよ』
返信、来るかな。
ちゃんと見てくれたらいいけど。
あいつ細いから、食べてるのかも心配。
大丈夫なのかな。
本当に心配なんだけど。
スマホを置いた。
気になる。
俺はもう一度メッセージ画面を開いた。
既読はついていない。
まだ見てないんだ。
でも、気になる。
こんな時はスクワットだ。
一、二、三。
腹筋だ。
筋トレするしかないだろう。
気になるし。
ダンベルでも持って、筋トレでもしないとやってられない。
プロテイン追加だ。
わかってる。
あいつが俺のことなんて気にしてやしないことくらい。
でも、俺は気になるんだ。
なのに俺は、一度会っただけのあいつのことが心配でたまらなかった。
今度は、腕立てを続けるしかなかった。
どうしよう。 ヴァルド君がメッセージを送ってきた。 しかも動画つきで。 動画のヴァルド君は妙に真剣だった。 あのジャージを着ている。 動画では筋トレをしているヴァルド君が映っていた。 わかりやすく、どうすればいいのか説明されていて、本当に初心者向けだった。 丁寧で優しい。 ヴァルド君の人柄なのかも。 いい人なんだな。 こんなに頑張った動画を送ってくれたんだもの。 これ、やらないといけないよね。 ただ、動画のヴァルド君は無駄に爽やかだった。 何で筋トレ部なんだろう。 やりすぎて頭まで筋肉にならないかしら。 少しだけ心配してしまった。 私はユリアの部屋をノックした。「ユリア、助けてー」「何?」「私、筋トレ部の対応で忙しいんだけど」「どうしたの?」「ユウ、女装かわいくね?」「惜しいけど良い感じだ」 送られてきたメッセージを見て、ユリアが固まった。「……」「これ、どう思う?」「惜しいってどういうことなの?」「私のかわいらしさの最大値を更新しろってこと?」「目をもう少し盛れってこと?」「いや、待って」「輪郭?」「メイク不足?」 ユリアは真剣だった。「何が惜しいのかしら……」 少し考え込む。「わかったわ」「服が少しかわいくなかったのね?」「今度は決めて見せる!」「あんたたち、壊してやる!」 ユリアは拳を握った。「女の子にしか見えないって言わせてやるから!」 何かが間違っていた。 そして。 今回はいけるでしょ、と言いながらユリアが写真を送る。 すると。「惜しい」
俺は、いつものように筋トレ部で筋トレをしていた。 その時だった。 ものすごい美少年が歩いていた。 王子かと思った。 それがアルだった。 そして、その隣にいたのが、かわいい顔をした男――ユウだった。 アルは初めて見る顔だ。 あんなに目立つ美少年なら、見たことがないのがおかしい。 転校生か? 見学か? よくわからない。 ただ――アルは妙に華奢だった。 細い。 柔らかそう。 しかも、何か落ち着いていて、本当に王子みたいだった。「あいつ……別格だろ」「絶対に王子だ」「あれで筋肉があったら……」「惜しいな」「あれで筋肉ついたら完成じゃね?」「いや、今のままだと病気になるだろ」「守ってやらないと駄目なタイプだ」「あ……もしかして、俺たちに助けを求めているんじゃないのか?」 俺たちは察した。 きっと――筋肉が欲しいんだ。 恥ずかしくて言えないだけだろ? わかる。 わかるぞ。 だから。 クリスが話しかけた。「そこの美少年達、筋トレ部に用か? よかったら筋トレしよう」(その誘い方はないだろ)(恥ずかしいからやめろ) 筋トレ部全員が思った。 だが。 俺は、やっぱりアルが気になった。 あまりにも細い。 胸板なんて柔らかそうで。 大丈夫かと思って、俺は触った。 ものすごく柔らかかった。 一瞬、女の子なのか? って思うくらいに。 でも。 男だよな。 王子みたいだけど。 きっと筋肉が足りないだけだ。 あいつ病気になるぞ。 身長はそれなりにある。 で
私はセラフィア女学院に通っている。私達は健康促進部に入っている。 体調管理やダイエットを目的とした部活だ。まあ、ほとんどの生徒が入っているし、私もバスケ部と掛け持ちしていた。ある日、部長達から妙な任務を言い渡された。男子はどうやって筋トレをしているのか。どういう女の子が人気なのか。何を求めているのか。そういうものを調べてきてほしいらしい。だから私は、男のふりをして男子校へ潜入することになった。理由は単純だ。身長が高いから。ショートカットだから。王子っぽいから。そんな理由である。ちなみに友達のユリアも選ばれた。胸がないから。そして荒っぽいからだと思う。皆、酷いな。私は胸がないわけじゃない。ただ、運動すると邪魔だし恥ずかしいので、できるだけ小さく見せているだけだ。その成果もあってか、男子校へ潜入しろと言われた。そんな馬鹿なと思った。ユリアは気づいていないけど、私は男子校に行ったことがない。少しだけ緊張していた。そして先生達に男子校の制服を借りた。顧問の先生は面白がって貸してくれたらしい。何を考えているのかわからない。私は着替えてみた。「アル、似合う」「王子様みたい」「絶対モテる」「男子校に行くのがもったいない」皆が好き勝手言っていた。そんな馬鹿な。私達は潜入捜査を開始した。女子校の人気ランキングはわかった。たぶん、男子達が今まで見た女子の人気ランキングなんだろう。それだけはわかった。そして帰ろうとした、その時だった。「やはり、ここの筋肉をつけるためには、このトレーニングじゃないのか?」「いや、プロテイン量が足りないだろ」







